ES対策実践講座

朝日新聞presents あさがくナビ就職支援セミナー seminar02 ES対策実践講座

#5 ESの鉄板③「志望動機」の実例

いよいよ三大テーマの最後、「志望動機」です。

「なぜその会社に入りたいのか」「どんな仕事がしたいのか」です。

アルバイト程度の職業経験しかない学生にとっては、実際に企業で働くイメージがつかめないので、一番書きにくいテーマかもしれません。

 例を見てみましょう。生活用品メーカーを志望する学生の「志望動機」です。

~「志望動機」の例~

私が御社に入社した場合のメリットは、私が御社の即戦力になりうるという点です。

その理由は3点ございます。

まず1点目がプレゼンテーションに慣れているということです。

ゼミやサークルで、実際に企業の方々の前でプレゼンテーションを行う機会を何度か経験しており、提案したビジネス案が採用された実績もございます。

次に2点目がリーダーとしてチームを引っ張っていった経験があるということです。

その際に学んだリーダーとしての責任、議論のまとめ方はチームでの活動を主とする御社では大きな力を発揮することでしょう。

最後に3点目が、約4年間の海外生活で得た語学力です。

英語が堪能であるため、早期からの海外転勤にも対応することが可能です。

なんだかすごく能力が高そうな人という印象ですね。

プレゼンも英語もできるなんて、もう社会人みたいです。

しかし、直す点はたくさんあります。

  • 「即戦力になる」
  • →経験豊富な社会人に向かっては言わないように。学生の即戦力は、社会人とは比べものになりません。

  • 「~でございます」
  • →丁寧すぎる敬語は不要。自然に「~です」でOK。

  • 「プレゼンテーションに慣れている」
  • →どこでどんなプレゼンをしたのか?

  • 「リーダーとしてチームを引っ張った」
  • →どんな団体で何をしたのか?

  • 「4年間の海外生活で英語が堪能」
  • →何歳から何歳までどの国にいたのか?どの程度の英語力があるのか?

    では、具体的な要素を盛り込み、言葉遣いも直してみましょう。

    ~「志望動機」 修正例~

    安いだけでなく、「本物」をリーズナブルな価格で消費者に提供されている貴社に誠実さを感じるからです。

    私には3つの力があります。

    まず、プレゼンテーション力です。

    営業戦略を立てるゼミに所属しており、企業の担当者の前で、プレゼンを行っています。アフガニスタンの女性たちが織る絨毯「ギャッベ」のフェアトレードのプレゼンをしたところ、企業に採用されました。

    次、「チームを引っ張る力」です。

    学園祭実行委員会の渉外部長としてタレントの出演交渉に当たり、規定の半額で出演してもらうことができました。リーダーとしての責任や、議論のまとめ方を学びました。

    最後に語学力です。

    父が商社勤務でしたので、小5から中2まで約4年間、米国生活をしました。英語が堪能なため、貴社の海外買い付けや交渉の部門で力を発揮できれば、と考えています。

    いかがでしょうか?

    かなり内容がパワーアップしましたね。

    なるほど、この人は、「安いだけでなく本物を追求する」会社に魅力を感じたのですね。

    会社選びの価値観がはっきり打ち出せていてとてもいいと思います。

    でも、せっかくインパクトのある経験をしてきたのですから、具体的データで伝えないともったいないです。より読みやすくするために、「見出し」をつけ「3つの力」を箇条書きにしてみました。

    絨毯フェアトレード企画が企業で採用
    (英語でビジネス交渉ができます)

    安いだけでなく、「本物」をリーズナブルな価格で消費者へ提供されている貴社に誠実さを感じるからです。

    「3つの力」でお役に立ちたいと考えています。

    ①企画力:営業戦略を立てるゼミで、アフガニスタンの母娘が作る絨毯ギャッベのフェアトレードをプレゼンテーションしたところ、実際のビジネスに採用されました。

    ②交渉力:学園祭実行委の渉外部長として、人気タレント○○さんの出演を交渉。相場の半額のギャラで実現しました。

    ③語学力:商社マンの父の転勤で、小5~中2まで4年間、米国で生活。英語でビジネス交渉ができます。

    これらの力を、貴社の海外での買い付け・交渉などの場で生かすことができれば、と考えています。

    いかがでしょうか?

    文章はあっさりしていますが、内容は濃くなりましたね。

    ここまで来れば、まさに「自分」を売り込むプレゼン文書になっています。

    この学生さんは、ESや面接が終わった後で担当者の脳裏に強く焼き付くことでしょう。

    「アフガン絨毯の企画をやった人」「英語でビジネスできそうな人」などと、後になって担当者がキーワードで思い出してくれるような書き方をしてみてください。