ES対策実践講座

朝日新聞presents あさがくナビ就職支援セミナー seminar02 面接対策実践講座

人事のホンネ③「飾らず言葉のキャッチボールを」

企業側が、未来よりも「過去の体験」を知りたがっていることはわかりました。

でも、なかには「私には大した体験がない」「人に誇れるような立派なものがない」と自信をなくしてしまう人もいるかもしれません。
体験が立派かどうかを気にする必要はありません。
企業側は重視するのは、「体験の大きさより、何を得たのか」「結果よりプロセスが大切」ということ。

実際に人事担当者の声を聞いてみましょう。

「何を感じ、何を学んだかが大切」
普通に居酒屋でアルバイトをして、ゼミやサークルを頑張ったという学生がたくさんいる。
大切なのは、そこから何を感じ、学んだか
学生は「塾講師のリーダーでした」「サークルでこういう立場でした」という話をする。
聞きたいのは、どう人と関わって、どんな工夫したか、どう人を動かしたのかといった物事への関わり方、とらえ方。(不動産)

「経験の大きさは関係ない」
学生は経験の大きさに目がいきがちだが、違う。コンビニのアルバイトでもいい。
どれだけ興味をもって取り組み、何を得たのかが大切。(商社)

「才能なくても、しがみついて頑張った人」
才能があって結果も出た人だけでなく、才能はなかったが努力してしがみついて頑張った人がいい。
大きな大学の野球部で3軍と4軍を行ったり来たりするレベルでも、ずっと必死に汗を流してきたとか、自分はこうやって貢献してきたとか。
こういう話は本物だと思うし、印象に残る。(商社)

「なぜ?どんなふうに?が知りたい」
海外で何かに挑戦したり部活を頑張ったり、いい経験をしていても、自分でうまく振り返ることができていない人が多い。
海外に行った、部活を頑張ったという事実はあまり重要ではない。
なぜ海外に行き、どんな困難があって、どう自分なりに考え、どう行動したのかを知りたい。(建設)

「PDCAサイクルが知りたい」
面接では、学生時代の経験談を深掘りする。一つ一つの物事で、どれだけ失敗し、原因を振り返り、新たに挑戦したか……というPDCAサイクル、(Plan=計画、Do=実行、 Check=振り返り、Action=次の行動のサイクルのこと)ができているか知りたい。(流通)

企業は、学生の過去の体験談から、その人の価値観や思考回路、物事へのアプローチの仕方を知り、「将来の可能性」を見極めています。
つまり、将来の伸びしろを予測するために「過去」を判断材料にしているのです。
また、企業が重視しているのは、自分を客観視してコントロールする能力、つまり「自分がわかっている大人である」こと。
これを心理学の専門用語で「メタ認知能力」と言います。仕事ができる人は、この能力も高いと言われています。

面接で語る体験は、一生懸命頑張ったことなら「失敗談」でもいいのです。
メタ認知能力を使って、「自分はその時なぜ失敗したのか」「その失敗から自分は何を学んだのか」「次に成功するためにはどうすればいいか」を客観的に分析して語れば、中途半端な成功談よりよほど面接担当者の印象に残るでしょう。
面接では、思わぬ方向から質問のボールが飛んできて動揺します。
でも、動揺してもじっと固まって無言にならないように。
ピンチに陥っても、そこはなんとか粘って、臨機応変にボールを投げ返しましょう。